遺言の種類
【遺言書を作る意味】
遺言書を作ることの意味を考えてみましょう。そもそも遺言書とは、家族や大切な人たちとの永遠の別れ、つまり自分が死んだ時。その時に備え感謝の気持ちを表し、葬儀の方法、財産の分け方などの考えを正式な形で残しておく書面が遺言書です。15歳に達していれば作れます。
何回か結婚して複数の子がいたりして相続関係が複雑だったり、分けにくい現金以外の財産があったりする場合は、残された人たちのトラブルの種にならないようにする思いやりでもあります。
遺言が無いと財産は法定相続通りに分けるか、全相続人の協議で決めることになります。しかし、子がなく配偶者に全財産を残しであげたい場合や、内縁関係の相手、良く面倒をみてくれている息子の妻など、相続権のない人へ財産を残しであげたい場合には、遺言書がないとそうした希望を叶えることが難しくなります。そのような場合には遺言書が絶対に必要となります。
遺言の方式原則として以下の3つの方法になります。民967条
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書く人
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証人・立会人
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秘密保持
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検認
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自筆証書遺言 |
本人
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不要
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適している
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必要
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公正証書遺言 |
公証人
(口述筆記) |
証人2人以上必要
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公証人と証人は内容を知る
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不要
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秘密証書遺言 |
本人
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証人2人以上と公証人1人が必要
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遺言があることが公証人と証人に知られる
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必要
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●自筆証書遺言(民法968条)
この方式で遺言場合には遺言者本人が、その全文、日付、氏名を直筆で書いて押印しなければいけません。※この方式はパソコンでタイプしたものや、代筆したものなど認められません。専門家でない人が書いた場合、内容と書き方によっては要件を満たさず、遺言書としての効力を果たさないリスクが考えられます。
●公正証書遺言(民法969条)
1.証人二人以上の立会いがあること。
2.遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
3.公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み
聞かせ、又は閲覧させること。
4.遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに
署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公
証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
5.公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記
して、これに署名し、印を押すこと。
※2人以上の証人の立会いの下、自分の意思を公証人という法律によって保証された高い証明力を持つ人に遺言書を筆記してもらいます。遺言書は公証役場という役場に原本が保存され、かつ相続開始後に行う検認も不要であり、現在、ほとんどの遺言書はこの方式が用いられています。
公正証書遺言のメリット
当事務所で遺言書について相談された場合には公正証書遺言をオススメしています。その理由はコチラ
●秘密証書遺言(民法970条)
1.遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
2.遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
3.遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言
書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
4.公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、
遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
検認とは?
公正証書遺言で”検認”不要ということを述べましたが、そもそも検認とはどのようなものなのでしょうか。民法1004条に規定されております。(以下条文)
第1004条
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2.前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3.封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
つまり検認という行為は”自筆証書遺言”の場合と”秘密証書遺言の場合において、故人が書いた遺言書が法的に適正であるかどうかを家庭裁判所に確認してもらう行為であり、相続開始時において必ず行わなければいけない行為です。
いってみれば相続人達が初めて、その場で遺言の内容を確認し合う行為です。でも、その時になって、遺言書の内容を始めて見る人が。土壇場で急に揉めだしたら・・・面倒ですよね。
検認が不要な公正証書を皆さんが採用する理由はこれが非常に大きいです。
ちなみに遺言書を家庭裁判所への提出を怠り検認をしないで遺言を執行した場合には5万円以下の過料に処せられます。(民1005条)。遺言書を作るなら、やはり公正証書が良いですね。